アパートからは広大なイスラム教徒の墓地、裏もキリスト教徒の墓地が見える場所に住んでいた。 何故そんな場所にあるアパートに住んでいたかというと、ジャカルタ内や郊外にある工業団地へのアクセス、高速道路が遠くなく、アパート内のメンテナンスとマネージメントも良かったからだ。 更に97、98年頃の暴動を経験しており、前後が墓場になる近辺で、暴動を起こす輩はいないだろうと考えていたから。
実際、4連のアパート、5つ星のホテル、少し離れて2連のアパートと続いているのだが、その昔その一帯は全て墓地だったそうだ。 引越しの際も、あそこは「幽霊が出る」らしいなどと噂を聞いたが、私は暴徒と化した人間の方が恐ろしいと思っていたので気にもならなかった。 4年間程住んでいたが、怖い体験はほぼ皆無。 一度あったと認識しているのは、寝ぼけていたのだと思っている。
前振りが長くなった。
噂が立ったのは、私の住む場所ではなく、2連の塔が建っているアパート。
日本人も結構住んでいる。
どうもラップ現象に悩まされたり、不明な影を見た家庭が日増しに増えたようだ。
駐在員の奥さん達で、霊媒師を呼び見てもらうというところまで話を聞いたのだが、結果がどうなったのか、私には分からない...が、後から日本人の友人に聞いた話では、彼の友人がくだんのアパートに住んでおり、調度時期を同じくして同じ目にあっていたらしい。
彼は単身赴任者だった。
私の友人と比較的懇意にしていたが、非常にさっぱりとした男っぷりの良い人だったらしい。
その方の恐怖体験はこんな感じだ。
ある日の夜中から、天井裏から変な音がし始めた。
ゴトゴトという感じの時もあったらしいが、明らかに人が歩く音を頻繁に聞いた。
上の階の人、こんな夜中に運動でもしているのだろうか...? 随分下の階に響き、いい迷惑になっているのに気づいてないらしい。
最初はこんな現象だった。
毎日ではないが、そんな状況が続く。
そしてある日、戸をノックする音があった。
すぐにドアを開けても人はいない。 悪戯にしても、廊下が長いので、走って逃げたら気配や音がある筈なのに、誰もいない。
ある時、完全に廊下に出て確認すると、ドアが勝手にバタンと閉まったらしい。
室内は冷房を入れているので、窓は開けていない。 よって、風で勝手に閉まる可能性もほぼ皆無。
インドネシアのドアは重く、頑丈なものが多いので、突風でも吹かなければ勝手には閉まらない。
気持ちが悪いなあと思いながらも、しばらくは我慢してそこに住んでいたらしい。
夜中の天井裏の足音も、ドアのノックも増えてきた。
ノック後、急いでドアを開けた時、やや遠めに消える影もみたという。
ある日、天井裏、上階の足音だけでも何とかしようと思い立ち、アパートのマネージメントにそのことを告げた。 彼の上の階は長いこと人が住んでいない空室であることが判明した。
普段非常に男らしい彼でも、だんだん恐ろしくなってきて、アパートに戻るのが嫌になったそうだ。
ラップ現象も続く。
そしてある日、朝起きると顔の目の上が腫れ、人目では本人と分からない形相となったらしい。
病院に行ったが、原因は不明。
これで早急に引越す決意をしたらしい。
その後、彼には何も起きなかったが...、時を同じくしてそのアパートに住む、他の日本人も似たような現象にあっていたのだ。
またその近くのホテル。
懇意にしていた社長さんが、「次回からは以前使用していたホテルに再び変更する」とある時言い出した。 信じてもらえないし、夢の可能性もあるので、私にも黙っていたらしいのだが、ある晩、夜が明けるかなり前、3時か4時頃に目が覚めた。 ふと窓を見ると女性が歩いていたらしい。 その時は「ああ、人が歩いている」という認識しかなかったらしいが...朝起きて、窓を見て、自分が7階にいたのに気が付いた。 窓の下には人が歩けるようなせり出しもない。
私はその近辺に住んでおり、そのホテルにも泊まったことがあるが、何も見たことがない。
もちろん見えない方がいいけど...。
人から聞いた話だが、インドネシア で本当にあった実話。 <了>
5本立てでお贈りした怖い話は本日終了でも、ブログは続くので(笑)、

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