インドネシアはマホガニー、チーク材を使用した家具が有名である。 そんな家具の生産地にジェパラという場所があるのだが、今、ジェパラの斜陽は目も当てられないぐらいに酷い状況だ。
数年前の日本を含めた世界中のハンドメイド家具ブーム。 いまだに日本でも販売している会社はあるが、一時と比較しても、店舗およびネットショップも激減したように思う。
世界3大銘木に謳われるマホガニー、チーク材を使用したハンドメイド家具は、味があり、インドネシアでは比較的安く買い付けも出来たので、世界中のバイヤーで湧いた時期もあった。
ジェパラもそのような場所で、スマランから車を走らせること約1時間半。 先月仕事でそのジェパラを約6年ぶりに訪れる機会に恵まれたのだが、かなりのメーカーが倒産、清算したらしく、インドネシア家具産地の面影はいまだに十分に残しているものの、ジェパラの街の斜陽具合は本当に酷いものだった。 過去に私が毎月訪問していた当時、必ずストリートで出会うことがあった外国人バイヤーは一人も見かけず、街も活気を失い、悲惨な状況に感じ取れた。

家具や雑貨の買い付けだとバリ島へ行かれる会社が多いが、過去には家具の買い付けの街としてジェパラもバリ島同様に本当に活気溢れる街だった。 その理由の一つとして、小ロットからの注文が可能という点だった。 また価格交渉が比較的にスムーズに行えるという点も、あちこちの店から買い付ける西洋人や日本人には便利であったのだ。

ジェパラのメーカー、家具産地としての構造もついでに説明しておこう。 基本的に店舗やショールームを所有している会社は、最終工程のフィニッシング工場である場合が多い。 その裏には、組み立て工場があり、更にその先には木材の乾燥工場があると言った構造になっている。 この分業構造がハンドメイド家具ブームの時に街全体に雇用と活気を生み出したとも言える。
ジェパラの斜陽は世界的なブームが過ぎたことが原因ではない。 それでは何故落ちぶれていったか?
もちろんブーム後の影響もあったのだが、リーマンショックで各国からの注文が更に激減、ここ数年間で30-50%の会社やメーカーが閉じたと言われている。 実はそれだけが理由ではない。 私が考えるに「品質」が悪くて、世界各国から呆れられたのだ。 日本よりも品質基準の緩い米国やヨーロッパの国々も、ここの品質ではリスクが高すぎると判断されたのだと思う。
私もこの街にお客さんと毎月訪れ仕事をしていた当初、ほとんどの会社をサーベイした。 使用できそうなメーカーは2社しか発見出来なかった。

品質改善が出来なかったのは、分業生産が原因にもなった。 小さな会社でも社長は社長であり、自ら現場を視察して、改善に努めることがなかった怠慢とも言える。 余程マインドが高く、メーカーとしての誇りを持とうという会社とオーナー以外は、そんなことを行わない。 注文の時だけヘイコラしている社長がほとんどなのだ。 事実、私が使用していた1社は、華僑がオーナーで、この街の分業生産に入り込み難い部分もあったのか、全工程を自社で行っていたので、管理も行き届いていた。 結果、日本向けにも耐えうる品質を持っていた。
ジェパラの街、メインストリートから奥まった場所には、乾燥工場、組立工場が至るところで見受けられるのだが、本当にローカル式で、近代設備を入れているメーカーは少ない。 メーカーというよりも家内工場に毛が生えたような小さなものがほとんど。 木材を乾燥させても、モイスチャー検査器も所有していないケースも多く、ジェパラの家具は「虫喰い」「購入時に問題がなくても、輸入後、虫が発生」「カビが出る」などを繰り返した。
当時、スマランのバアで知り合ったヨーロッパのバイヤーと話をしても「どうにかならないのか?」などと嘆いている人もいた。
そして不良が出た際の保証の問題。 通常は次回のオーダー時に清算するというケースが多いと思うが、ほとんど不良になった場合、全ての保証は無理である。 不良の程度によっては、輸入した会社が直せる時もあるのだが、手間とコストが馬鹿にならないので、リスクが利益を食いつぶすようになったら、そのビジネスは終了する。
 ほぼ倒産して貸し出されている家具の組み立て工場。
家具産地のジェパラの斜陽。 現地の人々もそれなりに駄目になった理由に気付きつつも、おそらく大幅に改善されることはないだろうから、街に活気が戻るのはいつのことになるのやら。
この文を読んでジェパラを目指すバイヤーさんがいたら、結果を是非しりたいものです(笑)。 私が久しぶりにジェパラを訪れたのは、家具とは関係ありません。
また不景気が原因してか、個人で事業を考える人が増えています。 そんな方達には失敗していただきたくないので、何故ハンドメイド家具のネットを含めたショップが駄目になったのか、次回綴ろうと思います。

ご一読、感謝しております。
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